1000系

[御注意] この項に登場する企業名は実在する企業とは全く関係御座いません。

編成

(製造数)4両編成6本 6両編成9本 8両編成5本

(R2.3現在)10両編成1本

軌間  1,067mm
饋電方式 直流1,500V 架空電車線方式
最高運転速度 120km/h
設計最高速度 120km/h
起動加速度 3.3km/h/s
常用減速度 3.8km/h/s
非常減速度 4.5km/h/s
車両定員 先頭車150名 中間車163名
全長 20,000mm
全幅 2,900mm
台車 インダイレクトマウンド方式空気ばね台車
主電動機 直流直巻電動機 130kw
駆動方式 中空軸平行カルダン方式
歯車比 5.31
制御方式 界磁チョッパ制御

 


昭和49年に登場

当時まだ多く残っていた戦前設計の車両を置き換えるために登場
常武急行初のステンレス車で、当時進行中であった近郊8両化のために増備が行われた。界磁チョッパ制御を採用。

経緯
1962年から製造された、前世代である9000系の大量導入による輸送力増強は大成功をおさめたが、その一方で9000系による旧型車の置き換えはあまり行われなかった。それどころか、9000系の導入スピードが利用客増加に追い付かず、戦前設計の80系や戦後すぐに製造された70系が逆に主力になるという状態であった。また、1978年から予定されていた地下鉄直通開始にともない新車導入の機運も高まった。
さらには開業50周年記念事業で各路線の延伸が行われることもあり、従来の車両と一線を画す新車両の登場が急務とされた。
70年代に入り、大手私鉄ではチョッパ制御への切り替えが進んでいたが、常武急行では大量導入と費用の都合上高価な電機子チョッパの採用は見送られ、比較的安価である界磁チョッパ制御の導入が決定された。

車体
前世代に続き、裾絞りを用いた大型幅広車体を採用。本形式からステンレス製の車体となり、側面はコルゲーションが施された。客用ドアの寸法(巾1,300mm)、配置は変更されていない。戸袋窓は廃止された。
ステンレス車体であるため一段降下式の窓を導入した。前面は鋼製で白塗りとされ、中央に貫通扉を設置するデザインは継承されたが、隈取をおこない小田急9000形に似たデザインとなった。塗装は9050系と同様に青と緑の2色の帯を巻いた簡素なものである。本形式より、離線対策で1編成の最低のパンタグラフ数が2基となり、4両編成についてはユニット後位側の電動車は2基搭載である。この流れは以後標準となった。

走行機器
界磁チョッパ車であることから、制御装置の効率的な運用を目的としてM-Mユニットが採用された。ただし、4両編成では単独M車が存在している。一方で編成両数は4両、6両、8両があるものの中間付随車は製造されず、本形式には制御車と電動車、制御電動車のみ製造された。主電動機は東洋電機製で130kW、中空軸平行カルダン駆動である。

界磁チョッパの制御方式は基本的には抵抗制御と同一であるため、ユニット前位側の車両は抵抗器を搭載している。補助電源は本形式から静止型インバータとなった。
台車はダイヤフラム式空気ばねならびにウイングバネ式軸箱支持のものを使用し、特急列車なみの快適な乗り心地を実現した。そのために、当時の主力である旧式の台車を履いている70系・80系や、金属ばね台車の9000系の評価が大暴落する結果を招いてしまい、9000系の最終増備車である9070系導入の際には空気ばねが採用されることになった。

9000系との併結を考慮し、電気指令式電磁直通ブレーキを採用している。9000系とは電気連結器を用いて併結可能であるが、登場時から2000系導入まではジャンパ栓を用いていた。(のちに読み替え装置で新系列との併結にも対応)

車内設備
ロングシートで、扉間7人掛け、車端3人掛けである。座面を広く、深めに設計し長距離利用への配慮がなされた。冷房は製造時より9000系と同一の集中式を採用し、ラインデリアの導入で電気代削減と効率の増大を図った。車内の配色は9000系同様白色を基調とし、明るい印象が受け継がれた。車内照明は、従来の裸電球からカバー付きの間接照明となり、網棚にも飾帯が設置されるなど趣向を凝らした意匠が数多く採用されている。


沿革
第一号編成は6両編成で、1974年に導入された。この編成は試作車的存在であり、大量導入は直通運転開始前年の1977年から行われた。初期は主に6両編成の導入が中心で、1980年から8両固定編成も運用を開始した。
1982年に登場した1114編成(8両)は、コルゲーションを廃し軽量ステンレス鋼を用いたビードプレス加工、ダルフィニッシュ仕上げとなった。

1050番台

編成

(製造数)4両編成8本 6両編成8本 8両編成3本

(R2.3現在)10両編成2本

軌間  1,067mm
饋電方式 直流1,500V 架空電車線方式
最高運転速度 120km/h
設計最高速度 120km/h
起動加速度 3.3km/h/s
常用減速度 3.8km/h/s
非常減速度 4.5km/h/s
車両定員 先頭車150名 中間車163名
全長 20,000mm
全幅 2,900mm
台車 軸ばね式ダイレクトマウンド空気ばね台車
主電動機 直流直巻電動機 130kw
駆動方式 中空軸平行カルダン方式
歯車比 5.44
制御方式 AFE式主回路チョッパ制御

 


1982年に入るころには、本線系統では1000系の大量導入によって旧性能車はほぼ壊滅し、同様に手賀沼線にも9070系が導入され、輸送の改善が進んだ。そして、手賀沼線の変電所も回生ブレーキへの準備が済んだ。一方で、比較的状態の良かった後期製造の70系は一部で残っていた。そこで、それら旧型車の駆除を狙って1983年から1000系1050番台(通称1050系)が導入された。


1000系は居住性の向上と運転費用、保守費用の低減を図った形式ではあるが、その性能故製造費用も高額がついた。1050系は製造費用の削減を、性能を落とさぬまま技術の向上によって可能とした形式である。

 

基本番台と比較して以下の点が変更された。

 

・1114編成と同様に軽量ステンレス車体を採用
・制御装置を東洋電機の主回路チョッパ制御に変更し、MT比1:1に変更
・網棚の飾帯などの採用を見送り(後年設置)
・側面客用窓は2枚窓のうち片側を固定化
・台車は通常の空気ばね台車に変更
 

1986年まで製造されたのち、2000系に移行された。


更新工事

↑基本番台更新車

↓1050番台更新車

製造の際の高水準もあり2000年代まで大きな工事は行われて来なかったが、2002年から更新工事が開始された。更新工事では
・主電動機・制御装置をはじめとした床下機器の交換
・側面客用窓を熱線吸収ガラスに交換
・前照灯をHID灯に交換
・行先表示機をフルカラーLEDに交換
・内装を5000系と同様の物に更新
・塗装を変更

といった工事が施工された。このうち床下機器の交換について2003年度更新車までは三菱電機製の機器で更新されたが、機器の相性が悪く2005年度以降は東洋電機製の機器での更新を行っている。



運用
全編成が中川線を除く常武全線および直通先に対応しており、全区間で運用されている。常武急行所属のすべての形式と併結することが可能である。



代替製造車
1112編成の東京方2両(1112,1212)号は踏切事故による代替車製造が2006年に行われた。この代替車は4000系と同様の設計であるが、編成美を崩さないようにするためコルゲーションがつけられているほか、塗装も従来車に統一されている。なお、後述の置き換え進行に伴い4000系に編入する改造が2020年3月に竣工した。



2019年に初めて登場した1000系列の10両固定編成

手賀沼線で最後の活躍を見せる

今後の予定
5030系の増備に伴い2018年度から廃車が始まり、2020年3月を以て川間線、坂東線、八潮線からは撤退した。現在では手賀沼検修区に7M3Tの10両編成が3本が在籍し、手賀沼線(+直通先)で最後の活躍をしている。この編成は2020年9月をもって完全引退の予定であったが、需給の関係から2022年現在迄延期されている。なお当形式の10両固定編成は40年以上の歴史の中でこれが初めてである。

10両編成化に当たり元1126編成のモハ1226は電装解除(使用停止措置)されたため、基本番台の中間付随車も初めて発生した。